9 Dec 2014
結婚し家庭を持たれている方が副業を始める場合、会社で副業が制限されている等の理由から、奥様名義で副業を始められる方がいます。
そのような方は、『扶養』という概念をきちんと理解した上で実行しないと数十万円もの思わぬ出費に繋がる可能性があります。こうした問題を未然に防ぐために当記事では『扶養』の概念をまとめておりますので、是非ご参考にして頂ければと思います。
『扶養』の概念は以下の三点に分かれています。
1.所得税法上の扶養
2.住民税法上の扶養
3.社会保険上の扶養
当記事では、①所得税法上の扶養について説明致します。
所得税法上の扶養は、夫が奥様やお子様を養っている場合に、夫の税金支払額を減額できる優遇制度です。
ただし、扶養に該当するためには要件があります。
いわゆる『103万の壁』です。
103万円の壁とは?
所得税法上の扶養を理解するポイントは『103万円』と『基礎控除』です。
扶養について調べてみると、よく『103万円の壁』という用語を見かけます。
これは、奥様やお子様の1月1日~12月31日の間の給料が103万を超えると、扶養から外れてしまう線引きとなる収入を示しています。
103万円を超えてしまった場合、夫の優遇制度はなくなるため税金支払額が増加するとともに、奥様やお子様自身で税金を支払わなければならなくなります。
こうした問題を防ぐため、世の中の奥様やお子様は、年間の給料が103万円以下になるようにパート時間を調整されているのです。これが『103万円の壁』です。
ただし、『103万円の壁』は副業で事業を始める場合には、全く意味のない金額です。103万円はあくまで給料を得ている方にのみ当てはまる金額だからです。
これが今回のポイントです。
給料を103万円以下に抑えなければいけない本当の理由は、以下の計算式を理解してもらう必要があります。
『給料に係る税金の計算方法』
(給料-給与所得控除-基礎控除)税率
所得控除とは、政策上の理由等により法律に列挙されているもので、税金支払額を軽減させる優遇制度です。
給料を得ている方には、給与所得控除と基礎控除の適用があります。
給与所得控除は、給料を受け取った方のみが使える優遇制度です。
基礎控除は全ての方に与えられた優遇制度です。
前述した103万円の給料の場合、具体的に税額を計算すると、以下の通りとなります。
103万円(給料)ー(給与所得控除65万円+基礎控除38万円)=0
0×税率=税額なし!
仮に給料が104万となった場合、上記の計算式で算出される金額がゼロを超えるため、奥様やお子様は自分で税金を支払う能力があるとみなされてしまい、扶養から外されてしまうのです。
上記が給料を得ている方の計算方法です。
一方、副業で事業を始める方は、下記の計算式により扶養の判定をします。
『副業で事業を始める場合』
売上ー経費ー基礎控除38万円
副業で事業を始める方は、上記の計算式で算出される金額がゼロを超えた場合に、扶養から外れることになります。
つまり、売上から経費を差し引いた金額が基礎控除38万円を超えない限り、夫の扶養でいられるということです。
逆を返すと、奥様の名義で副業の事業を始められる方は、この基礎控除38万円をよく理解していないと、奥様が夫の扶養から外れてしまい、思わぬ出費を迫られる可能性があります。
また、上記の計算式よりも優遇される方法があります。
いわゆる青色申告を利用した場合です。
青色申告をされている場合は、上記の計算式に65万円の特別控除枠が加えられるため、その分扶養から外れなくて済むラインが引き上がります。
『(青色申告)副業で事業を始める場合』
売上-経費-青色申告特別控除65万円-基礎控除38万円
ですが、青色申告をするには、一定の要件を満たす必要があり、一般的には、簿記の知識を有している方が会計ソフトを導入し、日々の仕訳登録をすることで、青色申告の特例を受ける流れになります。
おすすめの会計ソフト『freee』の使用感をレビューした記事はこちら
ですので、青色申告を行う場合は、簿記の知識がない方であれば専門家の意見を仰ぐことも重要でしょう。
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